「ウィー・アンド・アイ」〜ビョークのPVでおなじみ、ミシェル・ゴンドリー監督最新作〜

その奇抜な映像と、どこかアナログで人間味ある表現で有名なM・ゴンドリー監督。ザ・ローリング・ストーンズ、ケミカル・ブラザーズ、レディオヘッド、ダフト・パンクなどのMV監督を務め、エターナル・サンシャインや恋愛睡眠のススメなどの映画でもお馴染みですね。映画では毎回、斬新な表現とユニークなシナリオでファンも多いはずです。

しかし今回はCG表現などのデジタル的な技工を廃した(加工はしてるでしょう)野心作「ウィー・アンド・アイ」。渋谷のシアター・イメージフォーラムにいって来ました!

[youtube]http://www.youtube.com/watch?v=xxH90tXCWIo[/youtube]

アメリカはブロンクスに住む高校生たちの群像劇を、ほぼバスの中だけで繰り広げるというこれまでとは趣向の違う作品です。
基本的には会話劇です。カメラは比較的躍動感ある手持ちが多く、彼らのストレートな会話をひょいひょいと掴み取ります。僕としては、バスの中だけで二時間どうするのかが見どころだったのですが、何かが起こりそうで起きない、逆に起こらなそうな所に何かが起こり出す、というストーリーに結局終始引きこまれました。

去年公開だった「桐島、部活やめるってよ」(過去エントリー、裸になっていく高校生…「桐島、部活やめるってよ」もどうぞ)は日本における、今っぽい代表的な高校ヒエラルキー文化の映画でしたが、自由の国アメリカとはいえ、この映画にも多少は存在していました。
しかし驚いたのは、僕からするとヒヤヒヤ、ヒリヒリするような危なっかしいやり取りが多かったことです。日本なら五秒で絶交される言葉を言い合い、考えられないラフさを持って彼らが行動することです。勿論その積もり積もった行動の帰結は、物語の後半でやはり大きく関わってはきますが・・・。にしてもです、にしても酷いこと言います。
さて、高校生は日本でも、バカみたいに偉そうに振舞っていることがありますね。ワールドイズマイン、オカンの飯まずいって顔してますw 東京のマクドナルドなんて悪童の巣窟かもしれません(ヤバい、自分おっさん化してる?)。学校でも授業中に盛り上がったら最後、先生をガン無視して騒いでいたことを思い出します(周りがですよ)。でもしかし、そんな騒ぎの中心の、いつもは賑やかな友だちも、少し悪ぶってる友だちも、メイクキメキメのギャルも、ふとしたきっかけで二人で話すことになると、以外にまじめに将来を考えていたり、真剣に恋に悩んでいたり、本当は孤独が好きだったりしました。

少し話がずれましたが、この「ウィ・アンド・アイ」で描かれるのもそこです。題名通り「ワタシタチ」でいる時、そして「ワタシ」でいる時、それぞれが時間を追うごとに見え出します。バスが進み、生徒たちは順々に降りて行き、外の風景は昼間から黄昏へ、そして夜になります。
誰か特定の人間にしか自分をさらけ出さない子、みんなの前ではキャラクターを演じてしまう子、隠している思いや、言い過ぎた感情。。バスの中は時が経つにつれ、人数が減っていくのに空気は重くなっていきます。それは同時に集団というくくりでは見えづらかった、個人の尊さが発露しているんだということに気が付きます。

僕たちは人と接する時、常にセルフコントロールをかけてると思うんです。相手と状況をつぶさに感じて、これは言っていい、これはやめとこう、敢えてこれを言おう、聞かなかったことにしよう、などと。
個性の一つは、このセルフコントロールのさじ加減や、タイミング、使いかたが、それでもみんなズレてるからだと思いました。例えばサッカー好き?って質問でも、相手の聞き方やテンションや距離感で、
好きだよ、そんなに…、なんで?、サッカー?、やろーぜ!、野球なら、スポーツ嫌いなんだよね、好きそうに見える?、うるさいんだけど…などと、なんとでも言い返せます。言い返すまでの間、言うスピード、表情と言葉のリンク、仕草、目線、あらゆることで僕たちは何かを訴えてると思うんです。ここまできたら無意識のセルフコントロールかもですが、俳優さんは全て計算して行える方もいるでしょう。

で、この映画ではその生徒たちの微々たる挙動を観察できます。
そしてこのバスを、自分の生きている学校や会社や世界と感じると、自己反省とともに隣人の思わぬ姿を目撃できるようになるかもしれません。

 

追記・・・これは筋とは関係ないですが、個人的に残念なのは、僕に英語力、アメリカ文化のリテラシーがないがゆえに彼ら高校生のトークの面白さや生々しさ、それと個々の学生の学校内でのキャラクターやヒエラルキーみたいなものがわからず、多分7割くらいしか楽しめてない気がしたことです。

 

 



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