8月に観た映画について。「我らの生活」「こっぴどい猫」「ダークナイト・ライジング」etc…

気がつけば9月…。せめて8月に観た映画について、自分なりの備忘録を。

 

ダニエレ・ルケッティ監督「我らの生活」

ヒューマントラストシネマ渋谷で、日本にはあまり紹介されないけど、カンヌなどで賞をとった映画っていうくくりの、三大映画祭週間2012という特集の中で観てきた。そもそもこのダニエレ・ルケッティ監督(イタリア人)の映画は、バックパッカーでブラジル旅行中にリオデジャネイロの単館映画館で観た「Mio fratello è figlio unico(邦題マイ・ブラザー)」がめちゃくちゃ面白くて、ずっと他の作品を見たいと思っていた。このマイ・ブラザーは1960年代を舞台に、ファシズムに傾向してゆく主人公の青年と、共産主義の兄との話。手持ちで躍動的なカメラワーク、そしてリアリティある芝居、音楽や効果音の入れ方も野性的だけど計算され尽くしてかっこ良く、僕は言葉を理解できないにもかかわらず終始飽きずに観てしまったのだった。なのに何で日本ではこんなマイナーなんだ!!と当時嘆いたのだった。

で、満を持して今回の最新作「我らの生活」。あらすじなどは映画と。さんのサイトやOUT SIDE IN TOKYOに詳しいよ!

正直マイ・ブラザーのほうが断然面白かった。でも二作共通して感じたのは、庶民的目線で、人情臭くて、そして精一杯希望を捨てずに生きる、ということ。そしてマフィアじゃないけど、ファミリーが強い感覚。さらに直情的なイタリア人が日本人の自分にとっては時にきつく見え、時に羨ましいほどに愛を表現する。外国人がイタリアで生活するのは大変そうだ。だが、一歩ファミリーになるとまた別のセカイがそこにはあるのかもしれない。

で、とにかく自分としてはダニエレ・ルケッティ監督の作品をみんなに観てもらいたいと思う次第です。

「我らの生活」予告[youtube]http://www.youtube.com/watch?v=ZPhnlYtwRgs[/youtube]

「マイ・ブラザー」予告(字幕なし)[youtube]http://www.youtube.com/watch?v=jnlKM7NNUC4&feature=related[/youtube]

 

 

今泉力哉監督「こっぴどい猫」

インディーズから現れた若手映画監督の最新作。モト冬樹さん主演で生誕60周年記念という、色ものっぽい触れ込みではあるものの、内容はとても野心的!ちなみにこの前自分の自主製作映画に出演していただいた、三浦英さんもご出演されており、これがまたいい味だった。予告では分かりづらいものの、実は後半につれてアヴァンギャルドっぽい演出(例えば観客に俳優が話しかけたり…)もある。前半のまったりした時間間隔を一気に取り戻す後半の20分に釘付けになる。モトさんも非常にいい芝居をされていて、完全にイメージが変わることまちがいなし。

良くも悪くも、ザ・邦画のインディーズって感じのテンションで130分は少し長い気がした。もうちょっと切って110分くらいですっきりしたほうがお客さんは呼べそうだ。あとチラシがすごいダサいのはわざとなのかな?配色もレイアウトもわざとじゃないとしたらコレはやばい。チラシ良かったらもうちょっとお客さん呼びやすいと思った。

他の今泉監督作品を観ていないのが個人的に悔やまれる。自分もインディーズから頑張っていこうという身で、近年のインディーズ映画祭で人気の作品を見なければと思う、とてもいい契機になったのは確かであり、反省し、焦燥した。同時に己の知識や努力や考察の浅はかさを知ってしまったのだった。。。手が届きそうで全然届かないのが映画製作の悲惨なところでもあり、最大の面白いところでもあるだろう。とりあえずこの作品そのものが、自分にとっての「こっぴどい猫」状態なのだった。

「こっぴどい猫」予告 [youtube]http://www.youtube.com/watch?v=zRuUxUjj9lo[/youtube]

 

 

クリストファー・ノーラン監督「ダークナイト・ライジング」

もはや言わずもがな。。いいの?これ1800円でいいの?っていうレベル。ノーランは00年代以降のセカイの混沌と、単純化できない悪と善の関係を徹底的に追求してくる。シナリオがとにかく秀逸。秀逸すぎて理解できないが、理解がぎりぎり追いつくか否かのまま観客の興味を引っ張り続け、こちら側の思考停止を許さない。が、それが心地よく、そして絶望感から除く僅かな希望とともにエンディングを迎える。バットマンシリーズをここまで換骨奪胎したワザやこだわりを、日本のメジャー映画を作る人にも盗んでほしいものだ。その点押井守なんかはメジャー感こそ薄いが、原作モノをやるときも世界観やメッセージ性は個性的で凄いと思う。

ハリウッドは決して一枚岩ではないし、常に強烈な競争とハングリー精神で戦っているんだなぁとか思う。

助監督時代によく心のなかで「この作品つまんね〜な〜」とか、撮影部の若い助手さんとご飯時とかに「このシナリオ適当だね〜」なんて話したもんだけど、アレ、我ながら何なんだろう。いや、仕事は仕事だからやるし、自分が興味持つところとかは頑張って掘り下げるけど。かたやインディーズ系や自主映画やってる時の情熱とぜんぜん違うんだよね。発言権と責任感の問題なのかな。その点今回のライジングとかみてるとインディーズ時代バリの情熱でスタッフ全員が動いてる気配がするっていうか、本気っていうかそういう空気を感じた。パワーみたいなものを。

自分の現場がそうだったらきっといいだろう。でもそれを担うのは結局自分自身だよな。

 

8月に思ったこと。斬新さは思いつきから生まれるわけじゃなく、日々の考察やインプットから生まれるのだ、たぶん、そうだろう。

 



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