道徳の授業コレで決まり!?予告ではわからなかった面白さ!映画「クラウド・アトラス」

ラナ・ウォシャウスキー、トム・ティクヴァ、アンディ・ウォシャウスキーの三名の監督による映画、「クラウド・アトラス」を観てきました。(ネタバレ有ります!)

今作は6つの時代と場所、すなわち
①1849年のアダム・ユーイングの太平洋航海の船での話、
②1936年ユーイングの航海日記を愛読していた音楽家フロビシャーの話、
③その37年後、ルイサ・レイが原発スキャンダルを追う話、
④2012年に老編集者ティモシー・キャヴェンデッシュが介護施設に監禁されて脱出する話、
⑤2144年の全体主義国家ネオソウルでクローンのメイド、ソンミ451が革命を起こそうとする話、
⑥更にその後の文明の崩壊した遠い未来で、原住民のザックリーと、何処からかきた高度文明の利器を扱うメロニムが共に禁断の地へと向かう話、

これらのストーリーが折り重なるように進む約三時間の映画でした。
正直な感想、僕は、面白かったです!
しかしながらつまらないというか、面白く無いと思う人もいるだろうな、という実感はありました。なので、僕がオモシロイと思った要素、そして面白いと思えないであろう要素を順にあげてみたいと思います。

 

●ぼくが面白いと思った要素
テーマについて、テレビCMでもネットでも、「輪廻転生をベースに複雑に人物がつながり、壮大な哲学的ストーリーが展開される…」みたいなこと言ってて小難しいんじゃないかと思ったんですが、全然そんなことありません。というかメッセージ性やテーマはとても簡潔でわかりやすかったと思います。
僕が解釈したのは、あらゆるたぐいの悪と抑圧(例えば奴隷制による人権侵害、ゲイやレズビアンに対する偏見、企業の利益のための虚偽…東電の耐震問題の事実隠蔽みたいな?、監禁、倫理崩壊などなど劇中にも色々)は、小さな善意や意志、希望、行動によって変えられる可能性があり、我々はそれを信じてより良く生きるべきではないか?というものだと思いました。ちょっと教訓的すぎるかなと感じなくもないですが、このシンプルなメッセージは道徳的で強く響きます。ブレません。
三時間もあって時世が変わり、冒頭から男が話し始めます。もはやこれは叙事詩という枠組みで想定された作品でしょう。
所々に見せ場があるものの、基本的に低めの温度で進みます。だけど、だからこそ、観客はメッセージやテーマについて考える時間を与えられているといってもいいかもしれません。
あとは6つの世界に出てくる役者さんがメイクや衣装を変え何度も出てきて、それを観るだけでも面白いです!特殊メイクはすごい!!トム・ハンクス、6変化。

●面白いと思えないんじゃないかという要素。
コレは面白い要素にも関わってくる話なんですが、まずシーンが多すぎてストーリーの目指している結末や登場人物が整理されるまでに、一時間くらいかかり、単純に追うのが大変な点です。追うのが大変な状態というのは観客的には映画に没入していない状態です。あれこれ考えてしまって冷めている状態というのでしょうか。と言うことは興奮しきれずに消化不良で、なんかつまんなかった…という人もいるでしょう。

通常、大作ハリウッド映画は、できるだけ観客をストーリーに巻き込み、登場人物に感情移入させ、盛り上げ、興奮させて映画を楽しませようとします(そうじゃないのも勿論あります)。
例えばトランスフォーマーやハリーポッターなどは典型的にそういう作品だと思うのですが、たしかにこの方向性だとお客さんは手に汗握った興奮に満足しますが、一方で、テーマやメッセージについて考える続けることをあまりしません。
というか受け身一辺倒になり、興奮がそれに勝り、忘れてしまいがちです。何なら映画を観たカップルが、劇場を出た三秒後に「ホテルで早くチョメチョメがしたい」などと考えかねません!映画はエンターテイメントの要素も持ち合わせているので、勿論悪いことではないし、映画の興奮冷めやらぬ中での二人のトランスフォームも幸せな事なんですが(何を言ってるんだ僕は!)、逆に映画を観た人になにか考えて欲しいとか、人生や世界を変えてもらう手助けになればと思って作った場合は、没入されすぎるとかえって伝わりません。
そういった事もあり、あえて観客を冷静にさせ、テーマについて考えてもらう時間を作る、という方向性もあります。
クラウド・アトラスはそれを狙ってかわからないですが、後半にいってもあまりアクションシーンを引っ張らず、あくまでメッセージを主体にして訴えてきます。そこをつまらないと思われかねないし、人によってはだから何?みたいに受け取ってしまうかもしれません。
というかこの方向性は興行的に失敗する可能性も高いです。。

さて、もうお分かりかもですが、クラウド・アトラスに、例えばインセプションみたいな難解さと興奮を求めるとつまらないです。でも教訓的な雄大な叙事詩を観てると思うと楽しめる、そういったところでしょうか。

 

 

●余談
関係ないけどフロビッシャー役のベン・ウィショーが超絶かっこいいです(007スカイフォールのQです)。あと、悪役のヒューゴ・ウィービングが悪魔やらおばさんやら殺し屋やらに化けててめっさおもろいです。

舞台がネオソウルとありましたが、韓国が近未来の舞台に選ばれること最近おおいなと感じます。押井守監督のイノセンスでも出てきたし。韓国やっぱり勢いありますね。ブレードランナーの時代は日本だったのに。。

日本にも同じように輪廻転生といえば手塚治虫の火の鳥があるし、あれ世界規模で本気でやったら絶対面白いと思う!

 

 

 



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